これまでは、囲いの崩し方を優先度順にまとめてきました。
まとめ|これから学んでいくこと(優先度順)*順位は囲い利用率ランキングより
最優先|1位.片美濃囲い、2位.美濃囲い、3位.高美濃囲い
優先|6位:居飛車穴熊(天敵の穴熊)
やや優先|7位.船囲い、14位.天守閣美濃、16位.左美濃、8位.銀冠
今回は、やや優先で残っている「銀冠」の崩し方を見ていきたいと思います。
目次
銀冠の崩し方(2選)
図1 手番:先手
銀冠は、コンピューター将棋でも高く評価されている頑丈な囲いです。
囲いも美しく見えるのは気のせいでしょうか…。
玉頭から攻める(囲いを崩す)
銀冠は上にも広く、上部の守りも固い囲いですが、天守閣美濃のときと同じように「▲2五歩」を皮切り(最初)に玉頭から囲いを崩すことができます。
図2:▲2三歩打まで(図1から▲2五歩→△同歩→▲2四歩打→△同銀→▲2三歩打)
まず▲2五歩とつきます。
△同歩とされて空いたところに、▲2四歩打と歩をたたきこみます(歩の手筋3)。
△同銀とされるので、また空いたところに▲2三歩打と歩をたたきます。
相手の駒の頭に持ち駒の歩を打つことをいいます。
駒取りになっているので、相手はこの手を無視しにくく、これをきっかけに守りが崩れやすいです。
▲2三歩打の時点で、駒こそとれてはいませんが、囲いを崩すことには成功しました。
▲2三歩打に対して、△同金であれば、囲いが崩れて、相手の王様を守る駒がほとんどいない状態になります。
△同金ではなく、△同玉であっても、▲1一竜と香車をとりながら、▲1二角からの詰めろをかけることができます。
持ち駒に金と銀がある場合(一気に寄せる)
▲1三銀打→△同玉→▲1一竜→△1二銀打
持ち駒に金と銀がある場合は、一気に寄せ切ることができます。
図3:▲1三銀打まで
まず、▲1三銀打とします。
一見タダにみえますが、そんなことはありません。
▲1三銀打に対して、相手は△同玉とするしかありません。
それに対して、▲1一竜と王手をかけることができます。
▲1一竜に対しては、間駒(△1二銀打)でなんとかなりますが、そこから「▲1五歩」と端攻めをします。
△同香であれば、▲2一金打→△1二玉→▲1一金→△2二玉→▲2二竜の5手詰めなので、
△同玉とするしかありません。
端攻め(▲1五歩→△同歩→▲同香→△1四歩打→同香→△同銀)
図4:△同銀まで
▲1五歩から△同歩→▲同香と、自然に取りあいます。
相手は、△1四歩打と受けますが、こちらはかまわず▲同香とします。
これに対して、相手は△同銀とするしかありません。
もし、△同玉なら、▲1五歩打→△同玉→▲1六香の3手詰めです。
▲1五歩打→△同銀→▲1四歩
図5:▲1四歩打まで
△同銀に対して、▲1五歩打と歩をたたきます。
この▲1五歩も▲1四歩からの詰めろ(▲1四歩→△同玉→▲1五歩→△同玉→▲1六香)なので、△同銀とするしかありません。
ここで、空いた隙間に対して、今度は「▲1四歩打」と玉頭をたたきます。
△同玉→▲1二竜→△1三歩打→(▲1八香)
▲1三歩打が王手なので、△同玉とするしかありません。
図6:△1三歩打まで
△1二銀を守っていた駒が相手の玉だけなので、すかさず▲1二竜とします。
ここで「△1三歩打」と間駒しましたが、相手玉はとても危険な状況にあります。
次の▲1八香がとても強力です。
ここまでくると、勝利は間違いないでしょう。
▲1五香からの詰めろ(▲1五香→△同玉→▲1四香)です。
まとめ|「銀冠」の崩し方・寄せ方
・王様の守りを「たたきの歩」で剥がしていく。
(▲2五歩→△同歩→▲2四歩打→△同銀→▲2三歩打)
・▲1三銀打から一間竜の形をつくる。(▲1三銀打→△同玉→▲1一竜→△1二銀打 )
・▲1筋を端攻めする。(▲1五歩→△同歩→▲同香→△1四歩打→同香→△同銀)
・たたきの歩(歩の手筋3)で相手の王様の守りを剥がす。(▲1五歩打→△同銀→▲1四歩)
・とどめの一間竜(△同玉→▲1二竜→△1三歩打→▲1八香)
ちなみに、竜と玉が、1マスあけて向かい合っている形を「一間竜」といいます。
以上、銀冠の崩し方と寄せ方でした。
次回以降は、個人的に気になる囲いの崩し方をみていきたいと思います。
次回からは個人的に気になる囲いです。
有段者にはあまり縁のない囲いかもしれませんが、級位者対決のときには相金無双になることもあり、そこそこ頻出の囲いのように思います。
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