個人事業主と法人のメリット・デメリットから、どちらにするのか選択する

そして、1つ前の記事では、「個人事業主でやっていく場合」と「法人でやっていく場合」のちがいを簡単に説明しました。

個人事業主と法人のちがい(概論)|働き方の選択

2017.07.12

個人事業主」と「法人」のちがいがある程度わかったということで、今回は「個人事業主」と「法人」のメリットとデメリットに焦点をあてて、どちらを選べばいいのか考えてみたいと思います。

税金からみた判断基準
一般的には、税制上、年商800万円〜1,000万円を超える場合は法人」にした方が良いといわれています。

個人事業主のメリット(法人より優遇されているところ)から考える

手続きの難易度

手続きは、個人事業主の方が楽です。

個人事業主の手続き

前の記事でも述べましたが、個人事業主の場合は、開業届1つ出すだけで開業することができます。

開業する(開業届って出す必要あるの?)|開業届の書き方

2017.12.07

確定申告する際の難易度も高くなく、専門知識がなくても、開業から確定申告廃業まで1人で完結することもできます。

確定申告|間違えると罰則を受ける可能性があります。

2017.12.14

法人の手続き

法人は、開業から廃業まで、様々な知識を必要とします。

確定申告するにしても、難しい内容であるため、税理士が必要になることが多いです。
簡単にいえば、手続きはいろいろと面倒です。

儲かっていない場合でも…

儲かっていない場合も、個人事業主の方が優遇されています。

個人事業主

利益があがっていない場合は、所得税を払わなくて済みます。

経費を計上することで、利益が赤字になった場合、当然、所得税は発生しません。

法人

利益があがっていなくても、毎年約7万円以上の均等割がかかります。
さらに、社会保険への加入が義務付けられているため、自らの首をしめる可能性があります。

そして、廃業するにもお金がかかります。

法人のメリット(個人事業主より優遇されているところ)から考える

信頼(取引・資金調達)

法人は信用度が高いです。
これが、すごく重要なのです。

法人の信頼

  • 企業によっては、法人としか取引しない企業さえもある。
  • 銀行からの借入(資金調達)は、法人の方が個人事業主よりしやすい。
  • 法人の方が信頼されやすい。
  • 相手に与える印象も法人の方がいい。
  • 採用の幅が広がる。(雇われる側も安心)

最近は、フリーランスであっても高い技術力を持つ人も増えてきました。
上記の回答は、あくまで一般論のお話です。

責任(有限責任無限責任

個人事業主の責任(無限責任

個人事業主無限責任です。

無限責任とは、料金の未払いなどがあった場合、最後まで「自分の責任で」(支払いのある限り)返済しなければなりません。

法人の責任(有限責任無限責任法人も存在しています)

一般的に、法人有限責任です。

事業に失敗して、借金などを負ったとしても、法人個人(社長)はあくまで別の存在なので、個人が責任を持つ必要はありません。

あくまで、有限責任(出資の範囲)となりますので、出資した範囲でのみ返済義務を負うことになります。

有限責任と無限責任の違い|メリット・デメリット徹底比較

2017.12.30
でも、倒産すると社長が借金をするイメージがありますよね…?
社長個人が保証人となって借りた借金については返済しなければいけません。

再チャレンジという面から考えると、法人の方がいいです。

節税(所得税を除く)

法人は、決算月を自由に決められるため、節税対策などをしやすいです。

また、社長や家族への役員報酬、従業員への給料の支払いや保険を経費にできます。

加えて、赤字の繰越が9年できます。(個人の場合は3年です)

節税に関しては、個人事業主の方が優遇されている面もあります。

節税(所得税)から考える(平成30年現在)

個人事業主の所得税

そもそも所得ってなに…?
所得とは、収入から必要経費を引いた残額のことです。

所得税の速算表(平成27年分以降)

課税される所得金額
税率
控除額
195万円以下
5%
0円
195万円を超え330万円以下
10%
97,500円
330万円を超え695万円以下
20%
427,500円
695万円を超え900万円以下
23%
636,000円
900万円を超え1,800万円以下
33%
1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下
40%
2,796,000円
4,000万円超
45%
4,796,000円

個人事業主の場合は、細かく累進課税(所得に応じて段階的に)が設定されています。

法人の所得税(法人税)

資本金が1億円未満の場合

資本金が1億円未満の場合、軽減税率が適用されます。

年間所得が800万円未満部分に15%800万円超えの部分に23.4%(減額されました)発生します。

資本金が1億円超えの場合

資本金が1億円超えの場合、年間所得の23.4%の法人税が発生します。

Q. 資本金3,000万円、課税所得1,500万円の場合、法人税はいくらですか?

A. (800万円×15%)+(700万円×23.4%)=(120万円)+(163.8万円)=283.8万円

資本金が1億円以下であるため、800万円までについては軽減税率15%が適用されます。
1,500万円から800万円を差し引いた700万円の部分には、税率23.4%が適用されます。
それを合計した金額がこの場合の法人税です。

所得税については、必ずしもどちらの方がいいということはありません。

しかし、1つの判断ラインとして、年商800万円〜1,000万円を超える場合は、法人であった方がいいといわれています。

税理士法違反について
税理士の資格を持っていない人が、他人の求めに応じて、「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」を行ってはいけません。

まとめ

個人事業主法人のうち、どちらがいいのかは、場合によります。

上記であげた、手続きの難易度」・「儲かっていない場合でも発生する費用」・「信頼(可能性)」・「責任」・「節税」の5点を参考にして、判断してみてください。

本稿の意見

迷っているなら、まずは個人事業主で始めてみることをおすすめします。 


目標を定め、事業内容と事業形態が決まったら、どうやって行動していけばいいのでしょうか。
次の記事では、どのビジネスであっても基本となってくる、ビジネスの3原則に目をあてて考えていきたいと思います。

ビジネスの3原則のうち、1つでも成り立たなければ、その起業(ビジネス)は失敗する|起業を成功させる方法

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ABOUTこの記事をかいた人

Masaki

横浜国立大学経営学部会計情報学科卒。 17歳の頃に初めての起業を経験し、以後8年間様々な事業で起業をする。 学生時代は10以上の資格の取得に励んだり、大学1年生の頃から20社以上のインターンシップ+αを経験したりと人生設計に迷走する。 現在、ホームページ作成、起業支援業務のような様々な新規ビジネスの開拓に携わっている。